江戸時代の霊験譚って興味ありますか?
江戸時代は現代のような科学全盛ではないので、「非科学的だ!」なんてツッコミを入れる野暮もいなかったでしょうから?(笑)よりリアルに霊験ということを受け入れる土壌があったことと想像します。
さて、実はここに准胝尊にまつわる江戸時代に書かれた霊験譚があります。
それは……
『準提菩薩念誦霊験記』
です。
タイトルがそのものずばりですね。
そそられますよねー(笑)
これは国書刊行会の叢書江戸文庫16『仏教説話集成』の一巻におさめられています。私はamazonで探しなんとかゲットしました!
ちょいと高いですけどね……
さて、この『準提菩薩念誦霊験記』は寛延二年出版となっています。寛延年間は徳川九代将軍の時代。その前の八大将軍と言えば享保の改革で有名な徳川吉宗。つまり「暴れん坊将軍」吉宗ですな。その吉宗がまだ存命中で実質の権力は吉宗が握っていた時代だそうです(例によってウィキべディア情報……でも情報とるのが楽でいい時代になったねー)。
まあ、つまり江戸中期です。
著者は、私の想像とはちょっと違いってました。智山派真言宗の学僧如実(亮海)でした。もちろんこの学僧は存じ上げませんが、意外と思ったのは准胝観音の総本山醍醐派ではなく智山派だったということ。准胝観音は真言宗では六観音に数えられるので、派にとらわれず広く信仰されていたということなんでしょうか。
また江戸時代、もう少し時代の下った1800年代で准胝尊を大いに布教した天台宗の豪潮律師「前に」、このような霊験記が出版される程に准胝信仰が浸透していたことは興味深いですね。
さて、この霊験記。なかなか面白い!
と言いつつ実は「霊験記そのもの」が面白いのではなくて、前半の「解説部分」がとても良いです。准胝観音の重要なテキストといえば今も昔も『仏説七倶胝佛母准提大明陀羅尼経』だと思いますが、この本ではこのお経をかなりかみ砕いて丁寧に丁寧に解説してくれております(古文調ですから、慣れないとちょっと大変ですが)。
白画の仏画も載ってます。
在家の方が読めば准胝さまへの礼拝は完璧だと思われる程じっくり解説しています。個人的にはこの書の価値は「ここ」かなあと思いました。霊験記は、時代が違うのでなかなかピンときにくいかも!?
ということで、准胝尊を信仰されている方は、特に日常『仏説七倶胝佛母心大准提陀羅尼経』を読誦されている方は、本書で礼拝の仕方を勉強するのは多いに参考になると思います。
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