地道に密教修行

天台寺門宗の祈祷寺院にて密教の修行しております「亮和(りょうな)」と申します。修行、信仰を通じて感じたことなどを綴っていきます。※過去(本格的な修行前)に「地道に観音信仰」というブログを運営しておりました。どうぞ気楽にコメントいただけると嬉しいです!

焔魔天特集②えんま様は大黒天?

 先に私は『焔魔天』と非常にご縁があるという記事を書きました。

 得度して間もない時期。まだ「天部尊」をお祀りできる状況ではありませんでしたが、オークションで『焔魔天像』を見かけた私は「脊髄反射」程の素早さで「入札」ボタンをクリックしていました(汗)

 ただオークションの仏像出品あるあるで、そのお像のタイトルは『焔魔天像』にはなっておらず「観音像」として出品されており、しかも70cmオーバーのお像にも関わらず落札金額は¥47,000という安値でした。

 さて、この『焔魔天像』を落札したほぼ同時期に、私は別の尊格のお軸をやはりオークションで落札していました(この時期の私は今にして思うと「どうかしていた」と思う程に多くの仏像、仏画を手に入れてしまっていました。今はそんなことは全くなくなったのですが……)

 そのお軸がこれです。

f:id:spincast:20200805170103p:plain

 このお像は見たことある人が多いと思います。

 そうです。三面忿怒の大黒天であり、摩訶迦羅天(まきゃきゃらてん)です。三面大黒天といえば天台宗の大黒天、毘沙門天、弁財天が合体されている像をイメージされる方が多いと思います。だからこの三面忿怒の大黒天に関しては「三面大黒天」と表記されることはあまり見かけてたことはなくて、多くの場合は胎蔵界曼荼羅にある『摩訶迦羅天』と呼ばれることが多いと思います。摩訶迦羅天はマハーカーラの音写ですから、もとはヒンドゥーの神です。意訳すると大黒天になります。よく見かける説明では「カーラ」を「黒」と訳して大いなる(マハー)黒(カーラ)で「大黒天」というものです。ただ本来の「カーラ」の意味は「時」なので「時を支配する神」から「延命」という属性をもった尊格でもあります。

参考記事
『伽羅は、大時または黒と訳され、特に黒の意味から大黒天の名が出たと言われてますが、義浄(ぎじょう)の『南海寄帰内法伝』に記すように、この像をいつも油で拭うために黒色を呈しているもので、本来は伽羅に黒の意味はなかったようです。中略~さらに大黒天は焔魔天と同体として、塚間(墓)の神、冥府神としての性格も『大日経』や『仁王経』でも説かれています(天部の仏像事典 錦織亮介著 東京美術)』

 これを読むと、荼枳尼天信者の中では有名な『大日経疏』のエピソード、つまり死者の心臓を探してさまよう「荼枳尼」を塚間(墓)の神である摩訶迦羅天が降伏して仏道に帰依させたという話は十分納得できる訳です。

 これを知らないと(大黒天=福の神というイメージしかないと)「なんで大黒天が、荼枳尼の前に突然現れるの?」という理由が説明できなくなる。

参考記事
『中期密教では大日如来毘盧遮那仏)の化身である大黒天によって調伏され、死者の心臓であれば食べることを許可されたという説話が生まれた[注釈 2]。大黒天は尸林で荼枳尼を召集し、降三世の法門によってこれを降伏し仏道に帰依させた。そして「キリカク」という真言と印を荼枳尼に授けたとされる。自由自在の通力を有し、6ヶ月前に人の死を知り、死ぬまではその人を加護し、死の直後に心臓をとってこれを食べるといわれる[8]。人間の心臓には「人黄」という生命力の源があり、それが荼枳尼の呪力の元となっているのである(ウィキペディア荼枳尼天の項)』

 そして今回、この記事で注目したいのは『摩訶迦羅天は焔魔天と同体』という部分です。
 上述した『大日経疏』のエピソードが有名なので荼枳尼天のボスと言えば「大黒天」ということは皆知っていると思いますが、焔魔天の眷属に荼枳尼天がいることは案外知らない人が多いと思います。

「なんで焔魔天の眷属に荼枳尼天がいるんだ?」

という疑問は『摩訶迦羅天は焔魔天と同体』ということで簡単に説明がつきますね(厳密にはそれ以外の説もありますが)

 さて、もちろん当時の私はそこまでの知識はないので摩訶迦羅天の軸と焔魔天像を同時期に購入したのは「たまたま」なんですが、はからずも「同体だった」ということに後で気づいて驚きます。

 さらに前の記事で書いた通り私が最初にお祀りした「天部尊」が「荼枳尼天」という摩訶迦羅天と焔魔天の双方の眷属というのだから鳥肌もたとうというものです。

 さらに言っておくと「焔魔天」は准胝仏母の眷属です!

 つまり、一時期の私はいろいろなご尊格のお像、軸を買っていましたがそれもすべて実は「准胝ファミリーだった」というオチです。

 さて、今回はこれくらいにしますが、次回もこの摩訶迦羅天の軸についてもう少し詳しく記したいと思います。

 軽く予告をしておくと、実はこの「お軸」はオークションのタイトルは確かに摩訶迦羅天となっていたのですが、軸のケースに入っていた文書を見ると見かけない神様の名前が書いてありました。

f:id:spincast:20200805152619j:plain

 麻怛利神王と読めます。摩怛利神王、摩多利神と表記することが多いようです。しかもおこのお像の下に7名の童子にも見える方々描かれています(この方々のお名前も次回明らかにします)

f:id:spincast:20200805170128p:plain

 

 天保年間のお軸ですね。「疫病神退除」の文字が見えます。

f:id:spincast:20200805152902j:plain

……ということで、次回はまた摩多利神について記したいと思います。

 

記事が参考になったら

クリック↓お願いします!

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村