安倍晴明が大好きな番組「英雄たちの選択」で特集された。
この番組は、その時の「世相」を反映させてテーマを決めることが多い。今のこのコロナ渦にあっては、以前に大正時代の「スペイン風邪流行にどう戦ったか」というテーマをやったこともあり、ここで記事にもした。
今回の安倍晴明特集では同じくコロナ渦を受けての「疫病退散」。さらに突っ込んで「自粛ムードにどう対応するか」というテーマまでが安倍晴明を軸に語られていた。
興味のある方はNHKのオンデマンドで見れるので是非ご覧になってみてください。
さて、今回私が興味を持ったのは「泰山府君の祭」の話です。
この番組では安倍晴明が使ったとされる陰陽道の最高奥義「泰山府君の祭」を晴明は「アピールの道具」利用した、と言う説明をしていました(いいのか?(笑))
用語説明:「泰山府君の祭」
『陰陽道などを題材とした物語では、安倍晴明が使ったとされる陰陽道の最高奥義「泰山府君の祭」は死者を蘇らせる秘術であるとされることが多いが、文献では風前の灯であった高僧の命を救ったとされるのみであり、死者を蘇らせた記述はない。天皇などに対する健康長寿を祈祷する祭祀である(ウィキペディア)』
番組の取り扱い方としては菅原道真の「怨霊騒ぎ」で都にはびこる「怨霊」「疫神」に都が怯えるさなか、アピール上手な安倍晴明が「大パフォーマンス」として他の祈祷(おそらく密教でしょう)に競り勝つために「泰山府君の祭」をやったのだと解説していました。
この番組内容の真意は私は分かりかねますが、私が興味を持ったのは時期の話。この「泰山府君の祭」が大いに天皇、貴族でもてはやされたとするなら、時代的には平安中期でしょうか。
私は焔摩天信仰があるので、かつて色々焔摩天のことを調べていく中で以下の文章に出会いました。
『焔羅王供行法次第』などの儀軌による、除病、息災、出産、延命、死者の冥福を祈願する焔摩天供という修法が平安時代後期頃から行われる様になり、これに伴ってヤマ(焔摩天)を中尊として眷族を配する焔摩天曼荼羅などが作成される様になった』
安倍晴明が「泰山府君の祭」で活躍したのが平安中期。この記述には焔摩天供が良く行われるようなったのが「平安後期」とあります。この番組がある程度「事実」なら、焔摩天供は安倍晴明の「泰山府君の祭」に対抗するために密教サイドがアピールしたのかな?なんて思えてきました。
どちらにしても「泰山府君」は焔摩天の主要眷属ですし、陰陽道、密教が「除病」「延命」を巡って当時意識していたであろうことは想像に難くありませんね。
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