准胝院のブログ

八王子市で准胝仏母を本尊とする天台寺門宗祈願寺院「准胝院」のブログです。准胝仏母祈願、不動明王祈願、人型加持(当病平癒)、先祖供養(光明供)、願いを叶える祈願(多羅菩薩)、荼枳尼天尊(稲荷)の増益祈願等

准胝仏母とは、修行者を励ます母

「本尊の准胝観音とは准胝仏母とも言われ、多くの仏を生み出す仏母として崇敬されてるところから、仏道に入門する得度式の本尊とされる(岩波新書高野山」松永有慶著「准胝堂」の項より引用)」

 行者を一人前にするために「引っ張ってくれる」仏さまとしては、我が天台寺門宗がそうであるように「不動明王」の方が馴染みがあるかもしれないが、ここには「准胝観音」がその役目であるという。

 仏の母だから、沢山の仏弟子を生み出してくれるという解釈はとても分かりやすい。

 でも今日はもう少しそのイメージを具体的にしたい。

 日本の密教ではとても数は少ないが准胝仏母以外にも「仏母」はいる。

 前に文殊菩薩の考察をしたときに、時に文殊菩薩と同体とされる「般若仏母」の話をした。日本では「般若菩薩」という名で通っている仏さまだ。

 その記事では文殊菩薩、般若仏母もまた「仏弟子を生み出す母」という属性を有するという話をした。

ryona.hatenadiary.jp

 どうだろうか、同じ母でも例えば「准胝仏母」と「般若仏母」は同じ「母」でひとくくりにしていいのだろうか?

 

 般若仏母は「般若経典」という「仏の智慧」を説くお経が、尊格化して「仏母」となった。だとすると、ここから読み取れるのは「智慧を説くことで仏に導く」という具体的な方法論が見て取れる。だからこの般若経典をお釈迦さまに替わって説く文殊菩薩も、その文殊菩薩さまの説法を聞いて仏になるのなら「仏を生み出している」という解釈が成り立ち、はやり男尊に関わらず文殊菩薩も「仏の母」という属性を持つ。

 では、准胝仏母はどうなのか?

 確かに准胝仏母の18本ある手の一つには「般若経典」が握られているから、般若仏母と同様に「仏の知恵を説く」という属性は持っている。

 ただ准胝仏母の腕が18本になる前の「チュンデー女神」だったころ、主要な持物は「托鉢」だったという事実に注目する。

 この「托鉢」は「修行者の象徴」とされるから、この准胝さま(チュンデー女神)の前に座る修行者は、その托鉢に自分の修行者としての境涯を見て、准胝さまと一体になるよう瞑想したに違いない。

 そしてその時、修行者がお唱えする真言が、「オーン。活動する女神よ!奮い立たせる女神よ!チュンダー女神よ!スヴァーハー(上村勝彦「准胝観音の起源」より)」だ。日本でも准胝真言として唱えれるもの同じだ。日本では違って意味が付されている例も見るが、個人的にはこの訳がしっくりくる。

 真言は自分の口から出ているが、それは目の前にいる准胝さまの言葉でもある。

だから准胝さまは必死に修行する者を「がんばれ!」と励ましているということなのだ。

 

 「母」だからダイレクトに「出産」のイメージで「仏弟子を生み出す」という解釈でもいいのかもしれない。般若の知恵で仏を生み出すという解釈でもいいのでしょう。

 でも本来的には「がんばれ!」と励まし続ける母のイメージだったんだ、ということは知っていてもいいかもしれない。

 自分が唱える真言は実はそんな「母のメッセージなんだ」ということが分かると、きっと准胝さまに向かう「心」が変わってくると思います。

 冒頭に引用した准胝仏母が「得度式の本尊」である理由。

 それはこれから得度して仏の道を歩む仏弟子を母のように励ます仏さまだから……私はそんな風に解釈しています。

f:id:spincast:20211101073201j:plain

★ご相談はこちらから・准胝仏母道場リンク★

准胝仏母の道場について

祈願申し込みフォーム

信徒会員申し込みフォーム

e-mail

JYUNTEIIN@gmail.com

 

記事が面白かったら

クリック↓お願いします!

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村