尊星王菩薩の作成は、「忙しさ」にかまけて遅々としてなかなか進んでいなかったが、少しだけ時間ができたので再度取り掛かった。
尊星王菩薩は「北斗七星」の象徴ともされる「龍」の上に乗る。
仏画をぼんやりに見てしまうと気づけないが、実際にこの「龍」の作成に取り掛かると……
「おや?」
と思う。
確かに色合いが龍らしいのでパッと見は龍なのだが、それにしては胴が短く四肢が「がっしり」し過ぎているので「四つ足」の動物に見える。
もっと言うなら(霊獣の)「麒麟」のような雰囲気がある。
恥ずかしながら、「龍」と「麒麟」の厳密な「違い」がよく分かっていなかったので調べてみた。
すると実は龍に近しい霊獣はなにも「麒麟」だけではなく「龍馬」「犀」と少なくとも四種類いることが分かった。
これらの違いは色々なバリエーションがあるようだが、概ね以下のような説明を多く見かける
・龍と牛が交わってできたのが麒麟であり、龍と馬から生まれたものは龍馬
・麒麟と龍馬の違いは麒麟は一本角、龍馬は二本角、麒麟は牛の蹄、龍馬は馬の蹄
(これは様々なパターンがあるからこれに一致しないもののあるようです)
・麒麟には牙があり、蹄が割れている、龍馬には牙がなく、蹄が割れていない。
また装飾彫刻の世界では、これらの霊獣がしっかり区別して作られているようだ。
神仏の本体に関しては注意深く「儀軌」を確認するが、龍の姿までは細かく確認することを怠っていたことを反省した。私もレベルの違いこそあれ、「彫刻」をする身として、うっかり「イメージ」で適当に作ってしまうところだった……いやいや奥が深い。
以下のサイトが詳しいので参考にしてください。
このサイトでのそれぞれの霊獣の特徴が分かりやすく解説されていたので、上述と一部重複しますが引用します。
ちなみに「龍」に近しい霊獣として「飛龍」の解説もありましたので併せて載せておきます。
龍の特徴
◎飛龍などと間違わなければ、間違えることはない
・見た目は蛇のよう
・体は鱗に覆われ、角、牙、髯がある。
・玉(ぎょく)を持つものもいる
・組み合わせ:雲 波 虎
・類似:飛龍飛龍の特徴
◎龍の顔に翼があり、魚、もしくは鳥の身体をしていれば断定できる
・顔は龍と同じ
・尾が魚のようになっている(鳥の姿のようなものも)
・羽を持つ 鳥のような足を持つ
・組み合わせ:波(水)
・類似:龍 鯱(しゃち)
・飛龍の姿:飛龍百態麒麟の特徴
◎龍馬や犀と見分けがつけば、間違えることはほぼない。
・顔:麒麟の顔参照
・髭がある場合があり、毛はカール気味
・蹄(ひづめ)がある
・彩色はさまざま
・組み合わせ:雲(五色)龍馬の特徴
・体は馬のよう、火炎(脇から出ている)を帯びる
・髭はない、角あり
・波を走る
・類似:麒麟 龍 犀
・龍馬と思われる彫刻:大津市園城寺金堂犀の特徴
・角(一角、二股ではない)がある
・一見すると馬や鹿のよう
・甲羅、蹄(ひづめ)がある
・組み合わせ:波(水)
・犀の姿:犀百態
結果的に、「麒麟」「龍馬」は蹄があるので、尊星王菩薩が乗る霊獣は「蹄」ではないので、やはり「龍」ということになるが、上述の「龍の特徴」にある「見た目は蛇のよう」という部分が合致しない。
そして「龍」がもともと「ナーガ」だったことを鑑みればこの「蛇のよう」という特徴は外せない気もするが……
また少し気になったのが「角の数」について。麒麟は「一角」が多いとある。私に縁がある龍の姿は「一角」であるものが多い。曰く「倶利伽羅龍王」と刀自女経に出てくる荼枳尼天が頂く蛇。
ちなみに仏画にある尊星王が乗る龍には「角」が確認できない。しかし見た目がどことなく「麒麟」のニュアンスがあること、また上述の通り私に縁のある龍に「一角」が多い事などから、尊星王の乗る龍は状況的に?「一角」が適当であると思ったのでるが……どうだろう。
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