先に「尊星王菩薩」が乗る「龍」が、「ナーガ」というよりは四つ足の霊獣に姿が近いという話をしました。
この記事では、龍に似た霊獣として「麒麟」「龍馬」を引き合いにだしました。ただ、その後、この記事に対して、興味深いコメントをいただいたので紹介したいと思います。
コメントは、いつもコメントくださる「どうたぬきさん」から。
この方は以前にも紹介しましたが日本ではあまり指摘されない東南アジア系の尊格に詳しい方で、いつも興味深い考察をしていただけます。
ポイントは、前回の記事で私が指摘しなかった龍の「鼻の長さ」についてです。
私も最初に尊星王菩薩が乗る龍の顔は「ユニークな顔だな」という感想は持ったのですが、それ以上の考察はしていませんでした。
ただ以下の通り「獏」「マカラ」との共通点を指摘いただき「なるほど!」と思った訳です。
↓この通り、「尊星王菩薩」が乗る龍は鼻が異様に長い
所有の物画像以外にも例えば「十巻抄」でも同じように「鼻が長い龍」が描かれています。
引用:十巻抄
判り難いので拡大
さて、では「獏」と「マカラ」の「顔」を確認してみましょう。
「獏」の参考画像があるページ
「マカラ」の参考画像があるページ
これらの「獏」「マカラ」の画像を見れば、確かに尊星王菩薩が乗る龍の「顔」とよく似ています。
以上を踏まえて、以下「どうたぬきさん」の引用です
今見たらヒズメを持たない一角獣で解豸というものもおりますね。また角があるのかないのかわかりにくいが、獏もヒズメはない。麒麟に獏、龍は豊川稲荷寺社彫刻でいろんな所にあります。サイや解豸は山車彫刻で見たことがあります。と言いますのも、鼻の長さが気になりましてね。
鉄を食う(兵牙無用の時代を示す)獏だとすれば、金の災いを取り除くとか、何かしら意味合いがあるのかも?まあ、霊獣に乗っていれば解釈はいかようにもあり、何でもありなんですけれどもね。ちなみにラクシュミーは獅子や象に乗るとされ、一角獣は探せませんでした。尊星王の龍は龍っぽくないですね。元々は何か別の霊獣?それとマカラ。
ガンジス川の女神が乗る鰐であるマカラ。日本では金毘羅になっております。
鰐なので鼻が長く造られる傾向、当然手足もあります。尊星王によく似たラクシュミーの石像があるサンチの遺跡でもマカラは多数あります。マカラに乗ったラクシュミのコインあるにはあるそうですが、有名ではない。
もっともガンジスの一部であり同体でもあるナンダキニ女神、乗り物は未だ探せていないですが、ナンダキニもマカラに乗ってもおかしくはないですね。
マカラは日本ではシャチホコにもなり、中国ではChiwen。角はなさそうです。手足もなさそう。
マカラは金剛夜叉明王の摩竭魚。羽田先生は摩竭魚に悪性腫瘍を食わせるとブログで書かれていました。ポンペイラクシュミとよく似た像としてBegram ivories(べグラム象牙)にはマカラに乗った女神がおります。ですが、ラクシュミとは言い切れない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Begram_ivories
マカラに乗るのはガンガー(最もマカラに乗るようになったのは、ここ数百年らしい)水天のモデルの神、そしてドゥルガー。マカラは黄道帯の磨羯宮とも関係があり、マカラの派生である龍に尊星王は乗っているのだろうか?
水を呼び火災の時雨を降らすというマカラ。彫刻の獏は本来はマカラ・・かもしれない。
尊星王菩薩のお像を作りながら「龍」については、あまり儀軌を確認することもなく、また上述のおとり鼻が長くてどちらかというと「龍らしくない顔」は、もっと龍らしく変更しようと安易に考えていましたが、前回、今回記事で感じたのは「龍以外の霊獣」の影響はどうやら間違いなくありそうなことを踏まえれば、「鼻が長い」という特徴は残すべきだと思いました。
まだまだ、知らなければいけないことは沢山ありそうです……
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