ふと目についた鳥居。
見れば都会の宅地真っ只中には不釣り合いなほど長い参道。 存念ながら私は「(霊的な)何かに呼ばれた」なんてことが判る感性は持ち合わせていない。 それでも、その神社が「気になった」のならその「微かな気づき」を無視せず大事に「すくいとる」努力をする。 「きっと何かのメッセージが潜んでいる」 そういう心持ちで、例えば今回であればその気になった神社を参拝してみるのだ。
参道に入ってまず思い浮かんだ映像が、先日京都で歩いた伏見稲荷。 もちろん伏見稲荷とは比ぶべくもないが、長い参道に沿った数ある鳥居は、伏見を意識した造りに違いない。
長い参道をゆっくり進みながらこの神社のことを調べてみる。
「久富稲荷神社」
少なくとも四百年の歴史があるようだか「伏見稲荷からの勧請」という以外、由緒ははっきりしない。
少し珍しいのは「フクロウ伝説」が残っており境内には最近作られたであろうフクロウのお像が祀られてた。
本殿も比較的新しく、昭和に入ってからものらしい。
本殿前にあった凛々しいお狐さまのお像を見ているとその背後に視線を感じる・・・
そのうっすら感じた視線の方へ目をやると、小さな裏門を護るように古い作りの(もしかするとこの境内で一番古い?)お狐さまが鎮座していた。
見た感じ少なくとも江戸時代の前期位には作られたのではなかろうか?
つまり、この境内で一番多くの参拝者の「物語」を見てきたお方だ。
・・・おや、君もいたね🐱
「そうか、君が呼んだか」
そんな言葉が無意識に口をつく。
無論根拠もない妄想。 ただ、無意識に口をついたなら少しは意味があるのかもしれない、と解釈しておく。 その妄想をスタートにストーリー(物語)を考えれば自分の内面に深く入るトリガーとなる。分析心理学者ユングが好きそうなやり方だ(笑)
そんなことを考えていたら、帰り道この「久富稲荷神社」を舞台にした漫画があることを知った。タイトルは「ぎんぎつね」といってアニメ化もしてるらしいのでそれなりに人気があるのかな?・・・なるほど、私と同じく「あの場所」で「妄想」からストーリーを発展させた人が先にいたということか。
もしかすると漫画の作者も私と同じようにこの境内で一番多くの参拝者の物語を見てきたであろう、あのお狐さまの前で何らかのインスピレーションを受け取ったのかも?なんて勝手な想像をしてみれば、また楽しいではないか(笑)
・・・ってことは、ここは「演芸」に強い神さまだったりするのだろうか?
確かに、久々にファンタジーの世界に引き込まれる楽しい一時だった。