当院の荼枳尼天のお姿は天尊の頭頂に黄金色の狐がいます。しかもそのお狐が「九尾である」事に「おや?」と思われた方もいたでしょう。九尾の狐って仏教と関係あるのか?という疑問も当然あるでしょう。
……ということで、今回は諸説交えて九尾の狐と仏教というテーマでフランクに考察していきたいと思います。
まずは「九尾の狐」について基本から確認していきましょう。
詳しい人は九尾の狐と聞いて、まず思い浮かべるのは中国の妲己(だっき)や日本の玉藻前(たまものまえ)といった伝説的な妖怪ではないでしょうか?
あ、そうそう、ポケモンにもいました(笑)
九尾の狐は神秘的で妖艶、そして時には国をも滅ぼすほどの恐ろしい存在として語られる場面が多くあります。これだけ見ると神仏とは少し遠い存在のように感じます。
ですが、そんな九尾の狐が仏教とどう関わるのかを知ると、また新しい一面が見えてきます。今回は、中国、日本、そしてチベット仏教における九尾の狐の姿まで考察し、その多面的な魅力に迫りたいと思います。
中国における九尾の狐――善悪を併せ持つ神秘的な存在
九尾の狐が登場する中国最古の地理書『山海経』では、九本の尾を持つ狐は霊力を持ち、幸福をもたらす存在として描かれています。この伝説では、九尾の狐は吉兆の象徴としての側面が強く、神秘的で人々に畏敬される存在でした。
一方、小説『封神演義』に登場する妲己(だっき)は、九尾の狐が変化した妖婦として描かれています。殷の紂王を惑わせ、国を滅亡へと導いた妲己の存在は、人間の弱さや欲望を利用する九尾の狐の恐ろしさを象徴しています。ただし、妲己は単なる悪役ではなく、その美貌や策略からくる影響力には一種の崇高さを纏います。この「善悪両面を併せ持つ存在」というのが、中国における九尾の狐の特徴です。
日本の九尾の狐と荼枳尼天――名前の類似と信仰の融合
九尾の狐が日本に伝わると、さらに新しい解釈が加わります。日本では、九尾の狐は主に妖怪として語られますが、その一方で仏教や神道の信仰とも深く関わりを持つようになりました。
荼枳尼天(だきにてん)との関連はあるのか?
荼枳尼天のルーツは言わずもがなインドのダキニが、日本では稲荷信仰と結びついて独自の発展を遂げています。その名前「荼枳尼」と、九尾の狐が化身した「妲己(だっき)」には発音の類似性があり、これが両者を混同させる要因となった……というのは面白い解釈だが、学術的には全く論拠は見たたらなかった。
無理くりに荼枳尼天と九尾の狐に共通点を見出すならば、「知恵と力を持つ女性的存在」という属性を併せ持つ存在ということだろうか。
チベット仏教における九尾の狐――慈悲と智慧の象徴
今回調べてみて面白いと思ったのが、チベット仏教にも九尾の狐の説話があること。この話を紐解くと、荼枳尼天と九尾の狐の習合という話も決して的を外しているとは言えないかもしれない。
チベット仏教の九尾も当然中国からの輸入だとは思うが、上述したような霊的な力を仏教的に善なる方向へ再解釈しているのがチベット仏教らしい。この背景にはチベット仏教が土着信仰であるボン教と融合した影響が大きいと考えられます。それは九尾の狐は、ここでは災厄をもたらす妖怪ではなく、人々を助け、仏教の教えを伝える存在として描かれるからです。
観音菩薩の化身としての九尾の狐
観音菩薩があらゆる姿に変化する「三十三応身」。チベット仏教には「三十三応身」その狐の姿も含まれているという伝承があります。たとえば、『ある村が干ばつや害獣に悩まされていたとき、九尾の狐が現れて水の管理方法や農業技術を教えました。この狐は観音菩薩の化身であり、村人たちを救済し、仏教への帰依を促す役割を果たしました。』という説話です。
試練を与える九尾の狐――修行者を悟りへ導く存在
またチベット仏教では九尾の狐は、修行者に試練を与える存在としても描かれています。その試練は、誘惑や恐怖など、修行者の内面に潜む弱点を突くものですが、これは意地悪をしているわけではありません。むしろ、自らの弱さに気づき、それを乗り越えるためのきっかけを与えるという仏教的な慈悲の行為とされています。
九尾の狐が修行者の成長を促す姿には、観音菩薩の慈悲深い意図が感じられます。「試練を与えるのは、乗り越えられる力を持っていると信じているからこそ」というメッセージが込められているのです。
まとめ――九尾の狐が示す多面的な魅力
九尾の狐は、中国では妖艶で恐ろしい妖怪、日本では荼枳尼天との関連を持つ霊的存在、そしてチベットでは観音菩薩の化身として語られています。それぞれの文化や信仰の中で、九尾の狐はその性格を変え、時に畏怖され、時に崇められる存在として描かれていることをうかがい知ることができました。
仏教的な文脈での九尾の狐は、単なる妖怪ではなく、智慧と慈悲の象徴として再解釈されています。人々を助けたり、試練を与えて成長を促したりする姿は、私たちが困難や試練にどう向き合うべきかを考えるヒントを与えてくれる、まさに私の守護神である荼枳尼天のイメージとピタリとマッチします。
妖怪から智慧の象徴へと昇華する九尾の狐の物語。そんな多面的な魅力を持つ存在だからこそ、古代から現代に至るまで(ポケモンになるまで!?)、人々の心を惹きつけ続けているのでしょう。
祈願のお申込みについて
本院で承っている祈願につきまして、以下解説ページから。
当院のご本尊である准胝仏母さまの祈願です。滅罪、延命、求子に強いご尊格です。
荼枳尼天とはお稲荷さまの仏教でも呼び名です。
商売繁盛、学業増進、立身出世など増益につよいご神さまです
病気平癒、健康維持にとてもよく効く祈祷で、お加持をした「お札」を毎日枕の下に入れてその札に「悪いもの」を吸い取ってもらうように機能させます。人によっては患部に当てるよう袋を作ってお守りのようにしている方もいます。不動明王による祈祷を行いますが、当院では延命に強い准胝仏母の力もお借りして祈祷致します。
光明真言にによる供養(光明供)にて、ご先祖供養を致します。光明真言には強い滅罪の功徳がございます。
(「どんな衆生でも救う」という使命を持って誕生した慈悲深い菩薩さまです。皆様の願いを菩薩さまにお伝えするお手伝いをします)
文殊菩薩祈願
「三人寄らば文殊の知恵」というように智慧を象徴する尊格です。学業増進祈祷、無明を断ち切る祈祷などでお力をいただけます。
年始(旧正月)に「星祭」を行い、祈祷札をお出ししておりますが、随時「星祈祷」をお受けしています。
※不動尊華水供を修法致します。
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