「里見先生は何宗ですか?」
「天台寺門宗ですよ」
「……てんだい、じもんしゅう???」
残念ながら信者の方との会話で、このやり取りが驚くほど多い。多くの方にとって「天台宗」はよく知られていても、「天台寺門宗」という言葉を聞くのは初めてであることがほとんどです(なんなら体感100%)。
なぜ、こうした反応が生まれるのか?を私なりに調べたことがあるので解説したいと思います。ただ私は宗派の末端にいるもので、さらに専門研究者でもないので不足や誤りがあれば、ぜひご教示をいただければ幸いです。
タイトルにある通り「一僧侶としての覚え書き」として記したいと思います。
“寺門”という二文字の由来
まずこの言葉自体が分かりにくいですよね?
「寺門」という言葉は、もともと園城寺(通称・三井寺)の古い呼び名です。平安時代、比叡山延暦寺を中心とする一派が「山門」と呼ばれたのに対し、園城寺を拠点とした一派が「寺門」と称されました。
この区別は、同じ天台の教えを継承しながらも修学の拠点が異なる二つの中心を指し示すものです。この「寺門」の伝統を受け継ぐ流れが、後に「天台寺門宗」として知られるようになります。その源流は最澄によって開かれた天台教学にあり、のちに円珍が園城寺を拠点としてその法脈を伝え、今日まで受け継がれているということになります。
「天台宗寺門派」という呼称
繰り返しになりますが、歴史的に、具体的には平安から江戸期にかけて、天台宗は山門派(比叡山延暦寺)と寺門派(園城寺三井寺)に二分していました。この時代には「天台宗寺門派」「天台宗山門派」という呼称が用いられています。たとえば江戸期の公文書(『延暦寺文書』『三井寺文書』など)にも「天台宗寺門派園城寺」との記述が見られます。
明治政府による宗派再編と「天台寺門宗」誕生
明治維新後、政府は仏教を再編して国家管理下に置く目的で「宗派統一」を強力に進めました。1872年(明治5年)から1880年代にかけて、全国の寺院を「宗派単位」に整理し、「○○宗△△派」といった呼称を一宗一派に限る方針をとります。このとき、比叡山側がいち早く「天台宗」として中央登録され、園城寺(三井寺)側は「天台宗寺門派」として届け出たものの、最終的に宗務庁(当時の文部省宗教局)では「天台宗」という宗名を比叡山延暦寺系に限定しました。そのため園城寺側は、やむを得ず「天台寺門宗」という別名で再申請したという経緯があります。この変更は明治19~22年頃の宗教局通達に記録されています(東京大学史料編纂所『明治宗教史料集』所収)。
戦前・戦中の宗教統制による一時消滅と再興
1940年代前半、「宗教団体法(昭和15年)」によって仏教各宗は統制下に再編され、天台宗・天台真盛宗・天台寺門宗は「天台宗」として一時的に統合されます。戦後(1946~1947年)にそれぞれが独立再興しますが、再興の際、「天台宗」という宗名は比叡山延暦寺がすでに法人登録していたため、他派はその名称を使用できませんでした。結果として、園城寺側は「天台寺門宗」として文化庁(当時は文部省)に宗教法人登記を行いました。
戦後制定された宗教法人法(昭和26年)では、宗派名や法人名が既存法人と同一・類似であってはならないという運用基準が確立します。「天台宗寺門派」とすると宗教法人「天台宗」と類似しており、信者・行政上の混乱を招くと見なされるため、宗教法人の認証・登記に際しては「天台寺門宗」に統一することになります。この運用は現在も変わっておらず、文部科学省文化庁の宗教法人名簿でも「天台宗」「天台寺門宗」「天台真盛宗」は明確に別宗派として併記されています。つまりこれは宗教法人法上の名称独占の問題であり、教義上の対立や分裂によるものではありません。
結びに
以上です。このように「天台寺門宗」があまり知られていないのは、明治以降の宗派再編で名称が変わったことに加え、「寺門」という言葉自体が今では意味を思い浮かべにくいからだと感じます。個人的にはこれが結構効いていて、三井寺を指すこの古い呼び名が一般に伝わらなくなったことが、信者さまの「???」に繋がる大きな要因な気もします。
――さらに上述したような歴史的な事情がこの“知られにくさ”の背景にある……というお話でした。

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荼枳尼天とはお稲荷さまの仏教でも呼び名です。
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病気平癒、健康維持にとてもよく効く祈祷で、お加持をした「お札」を毎日枕の下に入れてその札に「悪いもの」を吸い取ってもらうように機能させます。人によっては患部に当てるよう袋を作ってお守りのようにしている方もいます。不動明王による祈祷を行いますが、当院では延命に強い准胝仏母の力もお借りして祈祷致します。
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