久々に小説を読んだ。
この世とあの世との狭間にある<あわい>に棲む霊狐・野火と、人の心が聞こえる<聞き耳>の力を亡き母から受け継ぐ少女「小夜」との物語。
面白かったです。
作品名はアニメ・実写化もした「精霊の守り人」(他、守り人シリーズ)の著者としても有名な上橋菜穂子氏の「狐笛のかなた」という作品。私も守り人シリーズは過去にすべて読んでいるので大ファンな作家さんです。
上橋菜穂子氏のファンタジー作品は、みな「児童文学」にカテゴライズされるが、個人的にはその練り込まれた壮大な世界観を理解するには児童には少々難しい作品だと思う。
さて、本作品には、「野火」という名の霊狐が登場する。その霊狐「野火」が棲む<あわい>という場所は物語に登場する「天狗」によって、このように説明されている。
『われらを畏れ祀る心をわすれ、自らが主であると思いあがり、あさましき呪者となりはてたものどもが、多くいたころは、むごいことが多く起きたものだ。なかでも術に縛られて汚された霊狐たちは、二度と、もとのふるさとにはもどれぬ。かといって、この山野では霊狐には精気がうす過ぎて、安らげぬ。とうとう<この世>と<あの世>の狭間にある<あわい>にて暮らす、あわれなモノになりはてた(引用:「狐笛のかたな」 上橋菜穂子著 新潮文庫)』
もともとは神々の住む世界で神の眷属として畏れ祀られていた霊狐が、あさましき呪者の術のせいで、<あわい>に住まわざるを得なくなった。それがこの物語の主人公の一人、霊狐・野火。
あくまでファンタジーの世界だが、その世界に近いし世界と隣り合わせの我々にとっては割とリアルに感じられる話だと思います。
また、少年(小年狐?)・少女の純愛ラブストーリーとして読んでもとても美しい物語なので、心の濁ってしまった大人にもお勧めです(笑)
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