近所の「片倉城跡公園」は桜の名所として割と有名らしい。
その公園の桜も少しづつ散り始めていた。
桜の花が散る……と言えば「鎮花祭」を思い出す人もいるだろうと思う。
春の花びらが散る時に疫神が分散して流行病を起こすとされ、平安時代より「その季節=今」に「はなしずめのまつ=鎮花祭」が催されている。
今日、片倉城跡公園の桜が散るさまを見て、鎮花祭を思い出したが……同時に「ある漫画」のことを思い出した。
……ということで、少し強引だが、ここからは「おすすめ漫画」の紹介
私がこの「はなしずめのまつり」という言葉を初めて知ったのは小学生のころ読んだ、「ある漫画」による。
その漫画は聖徳太子を主人公とした、「日出処の天子」という作品だ(通称「ところてん」)。この漫画で上述した「鎮花祭」のシーンがある。
私と同年代の方は男女問わず(少女漫画なので女性が多いとは思うが)、この作品が大好きという方は沢山いると思う。
まあ、もう名作中の名作ですよね。
ただこの漫画……当時(1980年代)ではセンセーショナル過ぎる作品だった。
確かに作品としては飛鳥時代の歴史を聖徳太子(作品の中では厩戸皇子)と蘇我馬子の長子「蘇我毛人」の視点を中心に繰り広げられるのだが……ただ普通の歴史漫画と思ったら大間違い。
何がセンセーショナルって、主人公、厩戸皇子が少女と見まがうほどの美形で、その上女装はするし、同性愛者(蘇我毛人が好き)で、超能力者(仏も見える)で、エディプスコンプレックス(マザコン)で、謀略家(暗殺もする)で、サイコパスで、それでいて伝承以上に天才で……
40年前に、聖徳太子をここまで歪んだ?性格に描写するのも凄いが、これによって聖徳太子の人気が下がったか、といば、むしろ逆で聖徳太子(というよう厩戸皇子)人気が(おそらく若い女性を中心に)爆発的になったのだ。
その人気もミーハーな漫画好き限定か?と言われればそんなこともなくて、私が一番驚いたのが、息子が中学生の時の社会の教科書を「チラリ」と見た時、その扉絵の「資料集」になんとこの「日出処の天子」が参考作品として乗っていたこと。
あの強烈な聖徳太子を歴史の教科書で紹介していいのか?と思ったが、裏を返せば、ある意味そんな「問題作」でも、それ以上にこの作品の魅力に魅了された人が大勢いたということだろうと思う。
この漫画の厩戸皇子は「とんでもない創作」されてはいますが、背景のストーリーは基本的には歴史に忠実です。
また聖徳太子といえば、いわずもがな日本へ仏教をもたらした方ですから聖徳太子と仏教との関係も多く登場します。
その描写はかなりスピリチャル。むしろその時代にあってはこれがリアルなのかもしれません。
むろんブログの読者ならいろんな意味でも楽しめると思います(例えば厩戸皇子が物部守屋との合戦で四天王を招来する場面や、魑魅魍魎の世界に落ちた毛人を救ったり、父に迫る疫神と対峙したり、夢殿で瞑想して体外離脱して雨乞いを成功させたり……)
さらに、作者の山岸涼子さんは、この少女のように美しい厩戸皇子の姿は仏像の容姿を大いに参考にしてるという話を聞いたことがあります。証拠に漫画の表紙では厩戸皇子は観音になり、迦陵頻伽になり、孔雀明王になっています。
冒頭で記した「鎮花祭」の言葉をより印象付けたのは、この漫画のイメージレコード(当時CDはまだなかった)にもクレジットされていたということもあります(このレコード買って持っていました)。
以下レコードのタイトル
1.日出処
2.未戸郎伝説
3.弥勒仙花
4.鎮花祭
5.無明と画竜点睛
6.四天王
7.神仏一体
8.超能力者
9.刀自古
10.静寂
11.錫杖の響き
仏教に関わるタイトルのが多いのが印象的ですね。
(ちなみに私は「四天王」という曲が好きでした)。
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