個人情報の取り扱いが厳しくなって久しいが、その影響で例えば会社でも個人の住所などは、人事部に登録されてはいるが、他の社員には一切公開されなくなった。
だから例えば……
会社で付き合いのある人々への年賀状も出せなくなり、ついには「年賀状、原則禁止」にまでなった。
そういえば、その「会社での年賀状」について、一つ思い出がある……
今では「原則禁止」の年賀状も、私が結婚した当時(二十年以上前)は、お世話になっている会社の方々への年賀状はマストだった。
そんな中、結婚した翌年の年賀状の話。当時、多くの人がそうするように結婚式の写真を使って会社の関係者に年賀状を出したことがある。
その時のエピソードが、今思い返しても少し「ぞっ」とするものだった。
私が出した年賀状を受け取った、とても親しい会社の先輩が、突然、深刻な声で連絡してきた。
「奥さん、体調とか大丈夫か?」
”え?なんで?”と思った。
その年賀状に写っているかみさんの顔色が悪いとか、疲れてげっそりしているとか、そういう感じの写真ではないはずだった。
だから、この先輩の言葉はどうにも腑に落ちない。
「えっと、なんでですか?」
私は、そう怪訝な声で返したはずだ。
すると……
「変なこと言って申し訳ないんだけど、うちの奥さんがこの写真見て悲鳴上げてさ……、それ以来この写真見ようとしないんだよ」
という。
何を言っているのかまったく意味が分からない。
そして、先輩は続けた。
「奥さん(うちのかみさん)を頼った女性が二人憑いている。しかもあまり良いものではない」
これを聞いて、初めて「なるほど、霊的なことを言っているか」ということに気づいた。
普通、唐突にこんな突飛な話を聴けば怒り出す人もいるだろう。
ただ、この先輩にはとてもお世話になっていて、またどちらかというとひょうきんな方ではあるが、こういったことを冗談でもいう人ではない。
だから、この話で怒る訳にもいかず、また笑い飛ばす訳にはいかなかった。
そういえば、かうて「うちの奥さん霊能力があって」とこの先輩から「奥さまの霊能力事情」を聞いたことがあった。
……当時あまり興味なかったのですっかりスルーしていたのだが。
曰く……
「時折インドにふらりと一人旅に行って、いろんな宗教グッズを持ち帰ってきて困るだよ」
とか。
「あの人、影が薄い……と言ってた人が後に亡くなった」
とか。
また、当時の私は「ただの二十代の若者」であって、いまのように密教の行者でも何でもない。
だから突然「女性の霊が二人かみさんに憑いている」と聞いてもどう受け止めたらいいのかわからない。
ただ気になることはあった。
当時のかみさんは体調がすこぶる悪く、原因不明の蕁麻疹、円形脱毛症、パニック障害に悩まされていた。
そしてこの話を笑い飛ばない、もう一つの理由があった。
それは…t年
このかみさんを頼って来ているという二人の女性に、かみがさんが心当たりがありすぎたのだ(これはプレイベートすぎるから詳細は記さないが)。
その時の、先輩の奥さまからのアドヴァイスは「(かみさん方の)お墓を奇麗に掃除して、定期的に墓参りにいくように」だった。
まあ、今思えば正直「スピ系」ではありがちな鉄板のアドヴァイスだが、この頃はそんなことはわからない。
当時は、同県の割と近くにそのお墓があったので、以後しばらく熱心にお墓参りを継続したのを覚えている。
その後、確かにかみさんの体調は回復したが、このお墓参りとの因果関係は当然確認しようがない。
ただ……
私が仙台に赴任してからは、容易にこのお墓に行くことは叶わなくなっていたが気にはなっていた。
先日、「激務である」という記事を書いたことがあった。
その影響もあってか肉体的にも精神的に限界がきていたのかもしれない。久々にパニック発作を起こしてしまった。
その発作の最中、なぜか急にこの「お墓」のエピソードが思い出さされた。
「なぜ今?」
と思ったが、今の私はこういったことに「意味がない」とは思わない。
「これは呼ばれたな」
と解釈してみる。
ならば、善は急げだ。
急遽茨城県にある、かみさんのご両親が眠るお墓に向かった。
(※先日記事にした「筑波山参拝」はこのタイミングでいったもの)
かみさんと二人で、時間をかけ、スポンジを使って苔をすべて落として奇麗にして丁寧にお勤めをさせていただいた。
かみさんも思うことがあったらしく、「ほっ」とした表情をしたのが印象的だった。
私もすがすがしい思いで、お墓を後にするときに、なにげなく空を仰いだ。
するとそこには印象的な雲が眼に飛び込んできたので写真に収めた。
その雲は鳳凰と、先日話題にした麒麟が駆けているようにも見えた……
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