『ダキニ天尊には別名として辰狐菩薩とか辰菩薩というお名前があるようですが、なぜ辰なのでしょうか?』
ブログの読者さまから、そんなコメントを頂いたのでご返答したいと思います。
平たく言えば『狐』がなんで『辰(たつ)≒龍』なんだ?って話です。
言葉による解説は、後半少し難しめなので、そういった難しめの話は苦手だという人は以下の2つの絵を見て「ああ、そういうことか」と感覚的に理解してください。
ちなみに、一昨年、去年と理由もなく荼枳尼天と尊星王菩薩(妙見菩薩)の仏像を続けざまに作ったのだが、今回、色々調べて、(またもや)その偶然に鳥肌が立っています。
さて、一枚目の絵のお方は、星祭でお世話になるご尊格で、「尊星王菩薩」「妙見菩薩」「北辰菩薩」等とお呼びし、これらを続けて「北辰妙見尊星王大菩薩」なんて言い方もします。
ここで注目いただきただきたいのは「北辰」の文字。北にある星で、礼拝の対象になるのは2つ。北極星と北斗七星です。上図では菩薩さまが北極星で龍が北斗七星と捉えれば天の星との位置関係的にも合致します。つまりこの場合、北辰といえば「北斗七星」と解釈するのが一般的です。※北斗七星を絵に加えてみました。
とするならば、荼枳尼天信仰にある「辰狐」の「辰」も「北辰信仰」つまり北斗七星信仰との関連が想像できそうです。先に描いた荼枳尼天に北斗七星を描き加えてみました。上の尊星王とどことなく雰囲気が近い気もします。
では、ここから『尊星王菩薩』と『荼枳尼天』が一体であるという解説を紹介したいと思います。
所説あると思いますが、混乱しないようにここでは我が宗派である天台寺門宗に大いに関係のある切り口からの解説を紹介します。
『三井寺(注:天台寺門宗本山)の「最極秘事」とされたダキニ天は、円珍請来と伝える三井寺の鎮守神・新羅明神や、新羅明神と同体とされる尊星王とも一体化し、寺門(注:天台寺門宗のこと)をめぐる言説の中で様々な変貌をとげるのである。その一例として『渓嵐拾葉集』第一〇五「仏像安置事」に見える」記事を掲げたい。
「尊星王」は神格化された北極星の本地であり、「妙見菩薩」「北辰菩薩」とも呼ばれる。災厄を除滅して国土を護り、人の寿福や生死を司る尊格で、尊星王を本尊とする「尊星王法」は、三井寺の最高秘法とされた。尊星王法も円珍請来と伝える修法であり、この尊星王が新羅明神と同体であって、新羅明神はダキニ天のことであると『渓嵐拾葉集』には記されているわけである。
(中略)
『辰菩薩口伝』という書名は、荼枳尼天の異名である「辰狐王菩薩」に由来するものだが、あえて「辰菩薩」としているのは「北辰菩薩」をふまえてのものと推測される。これには『辰菩薩口伝』と一結の聖教、『辰菩薩口伝上口決』の所説が大きな手がかりとなろう。
辰狐が北辰の深秘であって万物根源の「陰陽」や理智(胎金:注:胎蔵・金剛のこと)を司る存在であり、北辰(北極星)としては七星にわかれて衆生に命根を施し、辰狐としては南北に現れて世の吉凶を告げると述べる。
『辰菩薩口伝』の周辺にも、こうしたダキニ天と北辰菩薩を」めぐる所伝が伝わっていたと考えられるのである。
先に所説ありと言いましたが、少なくとも「北辰信仰」というキーワードにおいてはどれも共通してると思います。上述の解説は少し密教要素(胎蔵、金剛など)が入り込んでいるので難しめですが、お狐さまが北斗七星だ、とまずは捉えればイメージ的にOKかなと思います。
ではまた。
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光明真言にによる供養(光明供)にて、ご先祖供養を致します。光明真言には強い滅罪の功徳がございます。
(「どんな衆生でも救う」という使命を持って誕生した慈悲深い菩薩さまです。皆様の願いを菩薩さまにお伝えするお手伝いをします)
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※不動尊華水供を修法致します。
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