先の荼枳尼天の記事で興味深い考察を頂いたので掲載させていただきます。
荼枳尼天と言えば、私は敬意をこめて「怒らすと怖い女神」とこのブログでも表現しています。皆さんも荼枳尼天にこういったイメージがあることに異論はないだろうと想像します。
さて、ではこの「怖い」イメージは、先日より話題にしている胎蔵曼荼羅系の「心臓を食らう鬼」からくるのか?元々、金光明最勝王経で見られる武神要素をも合わせ持つ八臂弁才天からくるのか?その双方の属性が習合したのか? 等、等いろいろな説はある。
前置きが長くなりましたが、以下読者様考察概要です。
※内容は、コメント原文ではなく要約させていただいています。
インドの一地方に伝わる「カリ」と「ヤマ」の話(※里見:カリは「カーリー」と間違えられやすいが違うらしい。「ヤマ」はもちろん焔摩のこと)。
「カリ」と「ヤマ」は姉弟で、お姉さんの「カリ」は弟の「ヤマ」に恐怖される存在だとか。
ただ「カリ」は地母神的な側面もあり、信者に優しく面倒見が良い。信者の為には命も張るし、たとえ手を汚そうが悪魔と呼ばれても構わない(見て見ぬふりをする今の日本人気質とは大違い!?)という行動原理が強調される。ポイントは、ここでいう狂気、魔性を発揮する根本はあくまで信者のため。
このイメージは私が持つ荼枳尼天のイメージにかなり近いな、と思いました。
つづいて……
ヤマとヤムナー兄妹の話。
ヤムナー川と並行して流れるのはガンジス川だからガンジス川が「ヤマ」の神格化であるという話もある。そのガンジス川はヤムナー川から生命を受け取り、還る川とする信仰がある。
生命を受け取り、そして還る(生み出す)仏のイメージは仏母。准胝院のご本尊(准胝仏母)と考えるなら、その仲介に上述したヤマとヤムナーの役割から焔摩天が眷属として存在する意義が良く分かる。
ダキニが持つ魔性は、元々は生命が持つ当たり前の『生への渇望』
※里見:これは最終的に後期密教の母タントラで昇華したのかもしれませんね。
また、女性の魔性をすべて具現化させた存在として、尊星王(※里見:尊星王は天乃大淫女と呼ばれる→天の大淫女 - 准胝院のブログ)と同じく「天の女主人」とも呼ばれ、金星属性を持つメソポタミアの軍神、イナンナがいる。
イナンナは神を恐れず、やりたい放題な神。イナンナこそ仏教でいうところの荒神と言ってよい。
イナンナの腹心で軍神、月の予知能力を宿し(暦を司る?)、最終的にトルファンまで伝わり、狼か白い巨大な犬に乗る姿になった「ナナ」は姿が東寺の荼枳尼天に似ているのは興味深い。
以上となります。いつも興味深い考察有難うございます!
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