焔摩天は准胝佛母の眷属ということで、このブログでも多く取り上げてきたがこの焔摩天に関係深い尊格に「黒闇天」がある。
焔摩天を強く信仰する私ですら、その存在を強く意識することはないので、多くの方もほとんど「知らない」と思います。
字面だけみても、「黒い」「闇」という字が並びますから、当然イメージはネガティブなものを想起してしまう。
例えばウィキペディアではこんな説明がされている。
『吉祥天の妹。容姿は醜悪で、災いをもたらす神とされている。密教においては閻魔王の三后(妃)の1柱とされる。彼女の図画は胎蔵界曼荼羅の外金剛部院に確認でき、その姿は肉色で、左手に人の頭が乗った杖を持っている(ウィキペディア)』
「美しい女神」の象徴ともいえる吉祥天の妹。それなのに容姿は醜悪という描写は、美しい木花之佐久夜毘売の姉で、やはり容姿が醜悪であッとされる石長比売を彷彿とさせる。日本書紀では石長比売が「人が短命になった原因」として、それが転じて「岩のように長久に変わることのない」という長命の神様になるというあたりは焔摩天の属性「死」と「延命」と重ならなくもないが……まあ、この辺の考察は門外漢なので深入りはしないでおく。
さて、以前に「お犬様」の御札の本を紹介したことがある。
その著者の方は「お犬様」以外でも珍しい御影をよくtwitterで紹介されており、昨日、なんと上述した「黒闇天」の御影を紹介されていた。
東京・文京区の牛天神・北野神社の別当であった龍門寺(神仏分離で廃寺)が授与した黒暗天(黒闇天)の尊影を入手。黒暗天は吉祥天の妹、或いは閻魔大王の妃とされ災いをもたらす尊天ですが、同社の解説では弁財天の姉としており、かつては末社の太田神社に祀られていました。https://t.co/3RJkAywlUM pic.twitter.com/3asnvsy2Em
— 一魁斎 正敏@浮世絵スキー&狼の護符マニア (@ikkaisai) 2022年3月23日
この記事にある「太田神社」に関してはウィキペディアにも解説が乗っているので引用しておく。
『昔々、小石川の三百坂の処に住んでいた清貧旗本の夢枕に一人の老婆が立ち、
「わしはこの家に住みついている貧乏神じゃが、居心地が良く長い間世話になっておる。そこで、お礼をしたいのでわしの言うことを忘れずに行うのじゃ…」と告げた。
正直者の旗本はそのお告げを忘れず、実行した。すると、たちまち運が向き、清貧旗本はお金持ちになる。そのお告げとは─
「毎月、1日と15日と25日に赤飯と油揚げを供え、わしを祭れば福を授けよう…」
以来、この「福の神になった貧乏神」の話は江戸中に広まり、今なお、お告げは守られ、多くの人々が参拝に訪れている』
ここでは弁才天の姉。吉祥天の妹で弁才天の姉とはなんとも凄い話だ。
吉祥天、弁才天という華々しい女神の「影」故に「より黒い=黒闇天」という存在にならざるを得なかったのかもしれないですね。
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