准胝院のブログ

八王子市で准胝仏母を本尊とする天台寺門宗祈願寺院「准胝院」のブログです。准胝仏母祈願、不動明王祈願、人型加持(当病平癒)、先祖供養(光明供)、願いを叶える祈願(多羅菩薩)、荼枳尼天尊(稲荷)の増益祈願等

なぜ疫神を祀るのか?

 疫神について、考えてみようと思います。

f:id:spincast:20200805170103p:plain

少し前の記事で「日出処の天子」という聖徳太子を主人公とした漫画の紹介をしましたね。

ryona.hatenadiary.jp

 この漫画の中で聖徳太子の父「用明天皇」が崩御される場面で、とても恐ろしく「疫神」が描写されている。

以下引用

f:id:spincast:20220412112306j:plain

f:id:spincast:20220412112354j:plain

f:id:spincast:20220412112413j:plain

引用元:日出処の天子(完全版)1 著者:山岸涼子 出版社:KADOKAWA

※引用基準は以下のサイトを参考にしました。

マンガの引用と著作権について書いてみる|金田淳子|note


 さて、疫神(えきじん)を辞書で引くとこんな説明が書かれている。

『病気をはやらせるという神。疫病神(やくびょうがみ)。』(日本国語大辞典

 先日の漫画の記事でも話題にした「はなしずめのまつり」をはじめ、道の境で疫病神をもてなすことで都の外へ返してしまうという「道饗祭」など「疫神」に関する行事は多く残っている。

 さて、では……例えば牛頭天王や、我が道場にも軸がある摩多利神(摩訶迦羅天)……冒頭の写真、は「疫神」と呼ばれます。

とするなら……

「疫病をもたらす神を祀るってどういうこと?」

という疑問を持たれる人もいるだろうと思う。

  

 これは例えば「焔摩天」という「死」というイメージがとても強い尊格が「延命」に強いという理屈を考えると分かりやすいと思います。

 焔摩天ヒンドゥー教では「死者の国の王」とされる。だったら「いつでも死に追いやる」ことが出来そうで、とても恐ろしい存在に思えてくる。

 ただ……それなら逆もまた真なりで「だったら死に追いやらないこともできる」ということにもなる。

 当たり前といえば当たり前の話だ。

上述した摩多利神こと摩訶迦羅天はマカカラ(マカキャラ)と読むがこれはマハー・カーラの音写。マハーは通常は「大いなる」と訳されるが、「カーラ」は?というと……

「黒」か「時」の訳があてられる。

「黒」と訳せば「大黒天」となる。

「時」と訳せば「大いなる時」が直訳だが、少し頭をひねれば「時を支配する」という意訳ができそうだ。

「時を支配する」ならば「寿命」を支配することも可能なわけで、その場合、死を支配する「焔摩天」と近しい存在になる(摩訶迦羅天は焔摩天と同体とされることもある)。

 勘のいい方はもう分かったと思います。

 

 さて、話を「疫神」に戻しましょう。

「疫神」が「疫病」を「もたらす」なら、上記でみたように「(疫病を)もたらさない」ことも当然出来るという理屈になりますね。

 

「疫神」に関わらず、仏教の、特に天部にはダークなイメージの尊格がおおくある。ただ容姿は「ダーク」に見えても、当然、その裏返しである「表の力」があるということ。

 むしろ「黒(闇)」だったり「死」だったり「疫」だったりとその「黒さ」が強いからこそ、それがひっくり返って「表の力」になっときその「プラスの力」はより強力だ、と思えばこれらの神仏への信仰も違ったものになりませんか?

 焔摩天、摩多利神(摩訶迦羅天)、荼枳尼天など当道場には「死」をイメージする尊格が多くいるので眉を顰める人がいるとかいないとか(笑)

 でもそれは翻って、これらの尊格が「表」の功徳を発すればとても心強い神仏であるということなんですよ!

 

★ご相談はこちらから★

准胝仏母の道場について

本尊祈願申し込みフォーム

不動明王祈願フォーム

ご先祖供養(回向)・家族敬愛祈願フォーム

人型加持 申し込みフォーム

信徒会員申し込みフォーム

e-mail

JYUNTEIIN@gmail.com

 

記事が面白かったら

クリック↓お願いします!

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村