8日間ぶりの投稿です。
前回の投稿のラストで書いたおとり昨日まで、完全に「娑婆世界」から隔離された環境で修行をしておりましたので、その間、パソコンはおろかスマホすら見ることもない状況でした。
私にとって、今回の「行」は特に重要な行で、この世界に入ってから「まず最初に超えるべき大きな山」が、今回行った「行」を萬行することでした。
ではその「行」ってどんなものなのか?という話を少ししたいと思います。ただ密教の行ゆえにその具体的内容を記す訳にはいかないので、一般の読者の方が「どんな意味を持つ修行なのか」が少しでも「イメージできる話」をしたいと思います。
さて、私は武術・格闘技のキャリアが実は仏教修行としてのキャリアよりも圧倒的に長くて、サラリーマンとしての私が転勤族なので、実に多くの道場、ジムの門を叩きました。
曰く……
少林寺拳法、中国武術、極真空手、テコンドー(ITF&WTF両方)、ボクシング、キックボクシング、シュートボクシング。
あれ?仏教のブログに武術・格闘技は関係ないだろう?と思われましたか?(笑)
でももう少しお付き合いくださいね!
今あげた道場、ジムの見ていただくと分かる通り、結構な数の道場、ジムの練習生を経験しました。
そこで感じたのは同じ武術・格闘技でも道場によって教え方はビックリするくらい違うということ。それは例えばボクシングジムは2つのジムを経験しているのですが、同じボクシングでもあまりに指導方針が違うので驚きます。
ちょっと具体的に書いてみましょうか。
まず、一方のジムでは、まずパンチの打ち方、つまり「ジャブ」「ストレート」「ワンツー」「フック」「アッパー」etcのフォームを徹底的に覚えるまで、先に進めないという方針でした。
だから私は最初の数か月、鏡の前で1時間半くらいひたすらパンチのフォームを正すためにシャドーボクシングをさせられました。毎日同じことをただただ繰り返すって結構しんどいですよ(^^;
だから半年間は実戦練習であるスパーリングなんてもってのほか、ミット打ち、サンドバッグすらさせてもらえませんでした。
かたや、別のジムは全く違っていました。なんと、練習日初日からいきなりジムの会長がミットを持ってくれてミットを叩かせてもらいました。そして一か月後ぐらいにはリングの上でプロ選手とスパーリングまでもさせていただきました。
どちらの方針がいいか悪いかは、賛否あると思います。一つ目の例では、フォームが定まっていないのに相手と対戦しても変な癖がついて、自分のセンスとか感で戦うことになりかねないリスクを回避できるメリットがあります。でも多くの練習生は「まどろっこしい!早く戦わせてくれ!」となって途中で辞めてきます。
実際にそこまでフォームが完璧でなくとも、『格闘技の場合は』先に進んだ方がある程度強くなるのは間違いないからです。「時間対効果だけ」でみると厳しい面もある指導方針だと思います。「今どきのジム」ではあまりやらない指導方針でしょうか(これではジムが流行らない!?)。
「すぐに先に進むジム」は、「短期間に」「ある程度」強くなるには抜群の指導方法だと思いました。実際に、若い才能ある練習生があっという間にプロになる姿他を目の前で見ましたし……
ただ……これはあくまで「武術・格闘技」の話です。
さて、(ようやく)ここから私が今回修した、行の話です。
今回やった私の行は、最初に紹介したジムでさんざんやって「フォームを完璧にする」という練習、というのが近いと思います。
当然ですが密教は武術・格闘技ではありません!!
だから「とりあえずすぐに」という発想はないとなります。基本もできずに「とりあえず使える技を教えて」なんて世界ではないのは、きっとご想像頂けると思います。
先ほどのボクシングジムの話に例えると、今回の行は「鏡の前で行うフォーム練習」の最終ステップ。
次のステップであるパーリングや試合に進むための最終試験のような意味合いがあったと想像していただけると「当たらずも遠からず」でしょうか。
密教ではこのような一人前になるための「行」のことを「加行(けぎょう)」と呼びますが、まさに私が行っていたのがこの「加行」です。
ちなみに「加行」という言葉は、サンスクリット語で「プラヨーガ」と言いますが、「プラ」は「プレ」と同義で「前に」という意味ですから「前行」と言ったほうが意味が伝わり易いでしょうか。
「今回の行が最終試験なら、それを萬行できたってことはいよいよ一人前になれたの?」ということなんですが……
厳密に言うとまだ課題が多く残ってしまい、「フォーム練習」に当たる「行」は今しばらく続けるととになります。
ただ冒頭で話したように、私にとってはずっと目指してきた最初の「大きな山」であったこの加行にたどり着け、条件付きでも「萬行できた」ということは私の密教修行人生でも記念すべき出来事であったことには変わり有りません。
また近い将来、今度は自信をもって「一人前になりました」という日が来るまでキッチリと修行していきます。
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