准胝院のブログ

八王子市で准胝仏母を本尊とする天台寺門宗祈願寺院「准胝院」のブログです。准胝仏母祈願、不動明王祈願、人型加持(当病平癒)、先祖供養(光明供)、願いを叶える祈願(多羅菩薩)、荼枳尼天尊(稲荷)の増益祈願等

六字明王?

「六字明王」とういう尊格をご存知だろうか?

 尊格については、割と知っている方だと思ってたが、私も割と最近知った尊格である。

 まずお姿を見てもらうと皆様も「おや?」と思うのではと想像します。

youtu.be

 そうですね。尊星王菩薩にそっくりです。

 この「六字明王」の記事のとしては以下のブログがとても詳しい(おそらく研究者の方?)ので参照をお勧めします。

 

ameblo.jp


参照:Amebaブログ「徒然草子」著者:三平氏 記事タイトル「六字明王

 

 
 ただ内容が少し専門的なので私が掻い摘んで要約&解説をしていきたいと思います。
(内容はすべて上記ブログを参照していますが、クレジットは都度いれません)

 六字明王とは「六字経法」という密教修法の本尊とあります。

 この修法のポイントは信仰形態が「六字真言」の受持読誦が中核であって、それらに付随する儀礼的要素があまりなく関係儀軌類も存在しないとあります。

 さて、「六字真言」の受持読誦信仰と聞いて皆さんは何の真言を思い出しますか?

 チベット仏教で有名な「オン・マニ・パドメ―・フーム」を思い浮かべた人は多いと思います。

  ただ六字呪の方は上記真言とは異なり、キャチキャチュウキャビチカンジュカンジュタチバチ『仏説六字神呪経』)とあります。

 私のブログの熱心な読者さまは(少ないと思いますが:笑)、私が前に書いた記事を思い出してください。

ryona.hatenadiary.jp

 この記事にある通りにチベット仏教では「子守歌」のように誰でもが唱える真言が「オン・マニ・パドメ―・フーム」です。そして、この真言の功徳が最初に説かれたお経は「カーランダ・ビューハ」、漢訳されて日本に入ってきた経名としては「仏説大乗荘厳寶王経」となります。

 思い出してきましたか?(笑)

 また別の記事ではブログで准胝尊が「仏母」ではなく「観音」として信仰されたいきさつを記しました。

ryona.hatenadiary.jp

 この記事にある通り准胝尊を「観音信仰」に融合させたのは真言宗小野流の祖「仁海」が「仏説大乗荘厳寶王経」を典拠にしたと言われています。

仁海

ja.wikipedia.org

 さて、それをふまえて六字明王に話を戻します。

 冒頭で書いた、六字明王を本尊とする六字経法。これを修法に適した形に完成させたのが小野流の仁海と考えられているようです。

 なんと!ここでも仁海でした。

 また六字明王図像の経軌上の典拠はなく、近時の研究によれば小野流の範俊(1038-1112)が考案したようであり、以後、小野三流の一つである勧修寺流において六字明王を本尊とする六字経法が伝えられたようです。
 上述したように六字明王の図像は天台寺門派最大宗の秘法「尊星王法」の本尊である尊星王とそっくりですが、尊星王の図像は智証大師円珍が中国唐から伝えたと言う伝があり、又、尊星王法の修法は六字明王を本尊とする六字経法よりも先行するから、六字明王は尊星王の影響下に成立したものと考えられたようです。

 ただし小野流側としては六字明王と尊星王との繋がりについて認める事は無く、『覚禅抄』によれば、範俊らは北宋代に漢訳された『大乗荘厳宝王経』にその典拠を求めていたとあるそうです。

 ここにきて、ようやく六字明王と上述しておいた『大乗荘厳宝王経』との繋がりが見えてきます。

 範俊らが六字明王の典拠を『大乗荘厳宝王経』に求めたとありますが、『大乗荘厳宝王経』の六字大明呪を尊格化した図像といえば、チベットでメジャーな四臂観音(六字観音)です。(検索してみてください。沢山ヒットします)

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 この六字観音は六字明王の図像とはまるで違います。そして『大乗荘厳宝王経』の六字大明そのものは本来女尊で六字観音とほぼ同じ容姿をしていることであろうことは上述のリンク記事に書いた通りです。

ryona.hatenadiary.jp

 ただこれは範俊らが「間違えた」訳ではなく、どうやら「意図的」だったという説が強いようです。六字明王による「六字経法」を作成する際に、『大乗荘厳宝王経』を参照し、範俊ら小野流陣営は真言や図像の相違を承知の上で、主に修法の理論的裏付けの面で利用できる所は利用し、その上で日本密教的アレンジ及び時代の嗜好などを考慮した上で六字明王を案出したものと考えられるとあります。

 そんな訳で私はこの「六字明王」のことを知ったのは私の准胝信仰を深堀する際に、上記のブログに出会って、さらにはわが天台寺門宗の秘法本尊「尊星王」とそっくりな図像に大いに興味を持ったからということになります。

 以上、マニア向け記事だったと思いますが、准胝信者には外せない「六字真言」繋がりということで少しでも興味を持ってくれればうれしく思います。

 

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