恒例の「山岳修行」である武蔵御嶽神社で「妖怪」に出会った……
このお宮は私にとっての「まほろば」だからだろうか?いつも「太陽」が幻想的な風景でもてなしてくれた。
さて、武蔵御嶽神社は標高929mの山頂にあるので、前回行ったときは「雪」に阻まれて奥の院までは行けなかった。
御岳山の奥の院は御岳山ではなく、そこから1キロ程度歩いた標高1077mのピークである「奥の院峰」にある。
この記事でも触れたが、奥の院峰までの、この1キロの道程に「鎖場」があり、残雪があると危険が伴うと予想できた……はたして今日は?
そして、タイトルの「妖怪”行かないのけ?”」とは?
* * * *
御岳山へは毎回、朝の6:30ころに家を出発する。
前回に行ったときは、この時間はまだ薄暗く、なにより氷点下の気温で車のフロントガラスについた霜を削ぎ落す作業からスタートしたのだが、今日は朝日が目に眩しい程に日が昇っており、また前回感じた刺すような寒さはなかった。
7:30過ぎに登山口近くの駐車場に到着。
山間(やまあい)なので、まだ辺りは薄暗いが、ご覧の通りの快晴。
朝食を済ませて、登山口に。
ここから武蔵御嶽神社がある御岳山山頂まで約1時間の急登が待っている。
朝日を浴びながらの登山修行。
ラストの階段。
ここまでくれば山頂は近い。
武蔵御嶽神社到着
お犬様のご挨拶
遠くからめちゃ「目が合う」のだ(笑)
少し足を伸ばすと15分程度で「長尾平」という景観のいい場所がある。
ここから「奥の院峰」がよく眺望できる。
いつ見ても美しい独峰だ。
遠目には雪はなさそうだが……
ここで妻が「やめておこう」と強く主張する。
妻がとても「慎重派」であるということもあるが、たまに「予兆」と言う名の高い危機管理能力を発揮するので……妻の主張は無視できない。
結局……
「今日は奥の院はやめておくか」
という結論になり、下山ルートに向かった。
すると……
「行かねえのけ」
と男性の老人に話しかられた。
「いや、雪があると危ないと思って」
そう答えると
「南側に面しているから雪はないと思う」
という。
「じゃあ、行ってみるか」
と私が主張するが、妻は浮かない顔をする。
その老人と別れて「奥の院峰」に向かうべく歩を進めると妻が不満げに口を開いた。
「まったく、妖怪”行かねえのけ”の口車にのって」
「は?妖怪?」
もちろん先ほどあった老人が妖怪な訳がない。
親切で話しかけてくれたむしろ人の良い方だと思う。
それを「妖怪」とは失礼だろう?と思った。
ただ……
いよいよ「鎖場」に差し掛かった時に私はようやく妻の言った「妖怪」の意味に気付く。
絶壁にある細い通路には雪がカチコチに凍って残っていた。
写真では判り難いが、足を滑らせたら滑落は必至だ。
私たちにのすぐ前を歩く夫婦は、この鎖場の前で「チェーンスパイク」を装着して、先を行った。それでも慎重に足を進める姿を見て……
「あ、これは行ったらいかん」
と悟った。
そして思った。
妻の言った「妖怪」とは、声を掛けてくれた老人のことではない。
「行かねえのけ」と発した老人の言葉で、私が「危ない選択をした」という判断するまでに介在した「何か」こそが「妖怪なんだ」と気付いた。
私の「いや大丈夫だろう」と山を甘く見る心につけこんだ「何か」だ。
人は普通、これを「魔が差した」と言うのだろう。
ただ、妻はユニークに「妖怪」と表現した。
山の修行には「魔が潜む」ということを改めて痛感した経験となった。
★ご相談はこちらから★
記事が面白かったら
クリック↓お願いします!