地道に密教修行

天台寺門宗の祈祷寺院にて密教の修行しております「亮和(りょうな)」と申します。修行、信仰を通じて感じたことなどを綴っていきます。※過去(本格的な修行前)に「地道に観音信仰」というブログを運営しておりました。どうぞ気楽にコメントいただけると嬉しいです!

馬頭観音を調べてみた

 今、行っている祈願では「馬頭観音さま」のお力をお借りすることになったので自分なりに調べてみる。これまではあまり掘り下げたことがないご尊格だったので色々と新しい発見がありました。

 ちなみに馬頭観音と仏像彫刻という観点では、中山寺のお像が最も有名でしょうか。私もこのお像の馬頭さまのカッコ良さにはいつもほれぼれしています。

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写真は中山寺サイトより引用

nakayamadera.jp

 では、調べたことを以下に箇条書きにしていきます。参考にした文献は最後にクレジットしておきます。

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 馬の首をつけた者=ハヤグリーヴァの意訳が馬頭。ハヤグリーヴァはビシュヌ神の化身の一人。馬頭は古くから敵を調伏する激烈な力を備えるものとして考えられていた。チベットでは馬の守護者で日本においても家畜の守護尊、道中安全の仏として信仰される。

 阿弥陀如来系だが阿しゅく如来を頭頂仏とする例もある。

サーダナマーラーでの儀軌
身色:赤
面数:3面(赤、青、白)及び2面(赤、馬面)
面相:三面:赤面=微笑、青面=舌を垂らす、白面=歯をむく
   二面:正面は三眼、寶髻冠、歯をむく、赤ひげ 頭上は青い馬の顔
臂数:八臂:(右)金剛杵、杖、矢、カラナ印
      (左)期剋印、蓮華、弓、自分の乳房を掴む
   二臂:(右)金剛杵 (左)杖
※インドには単独の馬頭の作例はない。全て観音の脇侍として表される。

 別名:馬頭明王、馬頭金剛明王、大力持明王
 秘密集会タントラで四大明王の一尊
 曼荼羅西法、後期密教で十忿怒尊なる明王の一員になる。十忿怒尊には不動、降三世、大威徳、軍荼利などの日本で有名は明王を含むので馬頭もかられと同じに見なされていた。
 馬頭は不死の霊薬(アムリタ)もしくは不老不死の霊薬(ラサーヤナ)とかかわりが深く生命に関して神秘的な力を備えていると考えられていた

大日経」に「何耶掲利婆(カリガリバ=ハヤグリーヴァの音写)」の名で観音の脇侍として登場

 馬頭観音としての文献上の初出は「陀羅尼集経」と考えられてる(七世紀中頃)。同書の「馬頭法心印呪」第三には「オン・不死の霊薬(アムリタ)より生じたものよ・ウンハッタ」という呪が解かれる=上述した馬頭の霊薬との関係

 「馬頭明呪」(七世紀中)には「聖なる観音の口から出され、持金剛によって大いに尊ばれるハヤーグリーヴァという名の、曽於最上の心呪を私は唱える」とあり、馬頭明呪は観音の内的存在であることが示唆されている。

 馬頭に対する呼びかけの言葉
  「金剛の牙によって激怒した猛烈な恐怖をもつもの」

  「敵の明呪を貪り食うもの」

  「一切の病魔を破るもの」

  「牝馬の頭をもつもの」

  「病魔や毒などすべてを牝馬の頭によって粉砕せよ」

 このように馬頭は激しい怒りによて様々な害悪を滅ぼすが、特に牝馬の頭は害悪を貪り食い粉砕する呪術的威力をもつと考えられている。

 日本の馬頭尊
 奈良時代中期には知られていた。六観音畜生道を救済する観音。平安後期には三面八臂の単独像が少なからず作られる。胎蔵曼荼羅の観音院にいる姿は輪王座、赤い身体の三面二臂像。彫像としては上述の三面八臂が多いが持物には色々なバリエーションがある。

以下密教大辞典より引用
(A)一面二臂:(1)不空羂索経巻9・広大解脱曼拏羅品(大20・1092)に、左手に鉞斧、右手に蓮華と葉茎を持ち半跏趺座する馬頭のみで、胎蔵図像に出すが、覚禅鈔には頭上に蓮華・化仏が付く。(2)大妙金剛経(大19・965)に、身は碧色、赤色の光明を放ち(図では火焔)右手に蓮華を挙げて持ち、左手に軍持、半跏坐。その他、頸・四肢に蛇のまとい付く忿怒身もある。

(B)一面四臂:(3)大方広曼殊宝利経(不空訳・大20・1101)に2手は馬頭根本印、右手に鉞斧、左手に蓮華を持って丁子に立った忿怒相。頭上に馬頭を置く。別に両脚を前へ突出した坐像もある。また荷葉座に輪王坐の姿もある。

(C)三面二臂:(4)陀羅尼集経6・何耶掲□婆観世音菩薩法印呪品(大19・901)に中面は菩薩面、左は瞋怒面、右は大笑面、3面共に天冠・化仏がある。中面上に碧色の馬頭を置く。左手の紅蓮華には、花台に化仏を載せ、右手に如意宝珠の立像。上に天蓋・天女、珠から種々の宝を降らす。(5)胎蔵現図の曼荼羅の図65:身は赤色、中面は仏部、右面は蓮華部、左面は金剛部の三徳を表現する忿怒面。頭に金線冠を頂き化仏の後から白色の馬頭が出る。根本印を結び、右膝を立てる輪王坐。

(D)三面四臂:(6)摂無礙経(大20・1067)に、3面共に三目、中面に化仏と馬頭。身は赤肉色で忿怒相。2手で根本印に似た印を結び、他の左手は拳、右手に鉞斧を持ち、蓮華座に安住の姿。

(E)三面八臂:(7)八字文殊軌(菩提仙訳・20・1184)に、2手で印を結び、左手に蓮華・瓶・棒、右手に鉞斧・数珠・索を持つ。蓮華座に輪王坐して大忿怒相。別尊雑記には(図1)、火焔を負い、臥した青水牛の背(座具)に蹲踞する忿怒相像を描く。

(F)四面八臂:(8)馬頭儀軌(不空訳・大20・1072A)に4面とも忿怒相、頭髪が逆立ち、各面は天冠と化仏を頂き、中面上に碧色の馬頭を置く、身を囲って火焔、2手で根本印、左手は金剛棒・宝輪・念珠、右手は剣・金剛鉞斧、施無畏印、磐石(瑟瑟座)上の蓮華座に輪王坐する。 

  左右の馬口印は日本でのみ見られる特徴。立像も多いが、中には大威徳明王のように水牛に乗る姿もある

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『別尊雑記』巻第十九より引用

 さて、個人的に特に興味深かったのが真言にある「アミリト」が不死の霊薬「アムリタ」の意味があるという部分です。馬頭観音に病気平癒の功徳と結びつく情報は私にとっては今の祈願内容を考えた上でも非常にプラスとなった。やはりお世話になるご尊格に事はある程度しっかり知っておくことは重要だと改めて思いました(私の准胝尊のような深堀までは必要ないと思いますが!?(笑))

 

(参考文献)

観音菩薩 佐久間留理子著(春秋社)

密教仏像図典 頼富本宏、下泉全暁著(人文書院

インド密教の仏たち 森雅秀著(春秋社)

 

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