『天空の城ラピュタ』でムスカが天空のラピュタから雷のような一撃で地上を焼き尽くす圧倒的な破壊力を示すシーン……覚えていますか?
ムスカは、このラピュタの雷(いかづち)を『旧約聖書の「ソドムとゴモラ」』や『ラーマーヤナ』の「インドラの矢」にたとえて劇中で説明しています。
我々仏教徒としては、後半の「インドラの矢」という部分に注目すると面白い話が見えてきます。
『ラーマーヤナ』やヒンドゥー教の神話では、雷神インドラが登場し、稲妻の力を持つ「ヴァジュラ(vajra)」という武器を用いて邪悪なアスラ(阿修羅、悪神の一族)を一撃で焼き払うシーンがあります。
このインドラの武器「ヴァジュラ」が、ムスカの「インドラの矢」の元ネタです。
さて、昨日の話の復習を少ししましょうか(笑)。インドラは仏教に帰依し、「護法神」となっていますが、さて誰でしょう?護法神だからもちろん「天部」ですよ?
そうです、寅さんでもおなじみの帝釈天です。
この「ヴァジュラ(vajra)」を日本語に訳してみましょう。
「ヴァジュラ(vajra)」とは、サンスクリット語で「雷」「稲妻」「硬く壊れないもの」を意味します。これが仏教に伝わる際に日本語では「金剛(こんごう)」と訳されました。
雷の一撃のように強力でありながら、ダイヤモンドのように絶対に壊れないもの――これがヴァジュラの本質です。
仏教ではもともと帝釈天の持ち物だった「ヴァジュラ(金剛)」を「手」にする尊格が登場します。その名の文字通り「金剛手菩薩」です。
「雷をどうやって手にするんじゃ!」と突っ込みたくなるかもしれませんが、どちらかというと「硬く壊れないもの=宇宙で一番硬い武器」という意味合いが強調され、具体的には「金剛杵」という武具がその象徴とされていきます。
この「金剛杵」は、私たち行者が使う独鈷杵、三鈷杵、五鈷杵へと昇華されていきましたが、おそらくは実際に敵を倒す武器としても用いられていたのでしょう。
今風に言えば、『鬼滅の刃』で雷の呼吸を使う我妻善逸の「壱の型 霹靂一閃(へきれきいっせん)」といったところでしょうか(笑)。
※イメージ写真(AIで作成しました)
ところで、多くの人にとって「金剛手菩薩」はあまり聞いたことがないかもしれませんね。
あまり知られていない理由はいろいろありますが、この尊格はめちゃくちゃ出世して名前が変わったり、他の尊格と同体になったりと、多面的な存在なのです。
最初の役回りは、上述の通り最強の武器を持つ尊格として仏陀の「ボディーガード」でした。その頃の姿は日本では「執金剛神(しっこんごうしん)」と呼ばれています。
「東大寺法華堂に国宝がありますね?」と気づいた方は仏像マニアでしょう(笑)。
どうです?しっかり金剛杵を持っているでしょう?
ついでにもう一つ「ネタ」を共有すると、仏陀のボディーガード時代の執金剛神は、普段は神通力で姿を見せず、必要な時に仏陀に危機が迫るとウルトラマンのようにどこからともなく「シュワッチ」と登場する存在でした。
東大寺の執金剛神は、本尊の不空羂索観音の背後にある厨子に後ろ向きに安置されている秘仏です。これは、上述の「仏陀のボディーガード」時代の形態=普段は姿を見せない、を踏襲した貴重な作品です。
また、多くの人が一番親しみを感じる姿は「金剛力士像」でしょう。いわゆる仁王像です。仁王像では二体になっていますが、本来は一体の存在です。この姿も金剛手菩薩の別の姿です。
ちなみに、ボディーガードだった金剛手菩薩は、密教の経典では「金剛薩埵(こんごうさった)」と呼ばれ、とんでもない大出世を遂げるのですが……。
その話はまた後日としましょうか。
ではまた!
※星祭りの申し込みについてお問い合わせいただきました。
詳細は後ほどご案内しますが、取り急ぎ以下のリンクにある申し込みフォームより申し込みください(すでにお申込みいただいた方は、受理していますので大丈夫です)
祈願のお申込みについて
本院で承っている祈願につきまして、以下解説ページから。
当院のご本尊である准胝仏母さまの祈願です。滅罪、延命、求子に強いご尊格です。
荼枳尼天とはお稲荷さまの仏教でも呼び名です。
商売繁盛、学業増進、立身出世など増益につよいご神さまです
病気平癒、健康維持にとてもよく効く祈祷で、お加持をした「お札」を毎日枕の下に入れてその札に「悪いもの」を吸い取ってもらうように機能させます。人によっては患部に当てるよう袋を作ってお守りのようにしている方もいます。不動明王による祈祷を行いますが、当院では延命に強い准胝仏母の力もお借りして祈祷致します。
文殊菩薩祈願
「三人寄らば文殊の知恵」というように智慧を象徴する尊格です。学業増進祈祷、無明を断ち切る祈祷などでお力をいただけます。
光明真言にによる供養(光明供)にて、ご先祖供養を致します。光明真言には強い滅罪の功徳がございます。
(「どんな衆生でも救う」という使命を持って誕生した慈悲深い菩薩さまです。皆様の願いを菩薩さまにお伝えするお手伝いをします)
年始(旧正月)に「星祭」を行い、祈祷札をお出ししておりますが、随時「星祈祷」をお受けしています。
※不動尊華水供を修法致します。
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