突然ですが……牛の話をします。
「なんで牛?」
ということなんですが、以前記事にした「焔摩天特集」で「焔摩天は牛に乗ってる」という話題をしました。覚えてますか?
「死を司る神」であり「死の国の王」であった焔摩天。私の守護神候補である焔摩天ですから私は当然、このご尊格のことは詳しく知っておきたい訳ですね。
だからこんなマニアックな話に皆様も付き合ってもらいます(笑)
さて、現代の我々の感覚からすると、「死の神がなんで牛に乗るんだよ?」という疑問しか出てきません?
どうしても我々が想像する「牛」のイメージって「食用」「乳牛」「闘牛」とかじゃないですか?あとドナドナとか(笑)
しかし……ネットで調べられる情報レベルでも「死の国(冥府)」と「牛」のモチーフって実は沢山見つかるんです。
その中の一つをちょっと紹介しますね。
エジプトの聖牛アピスという牛の神さま。なんと死者を冥界まで運ぶそうです。まんま焔摩天のイメージにドンピシャです。
よくよく調べるとこのアビスという牛の神はエジプト神の「オシリス」と同一視されていることが分かります。「オシリス」という名前はなんか聞いたことある!でもぼんやりしか知らなかったのだが(←エジプトの神々の知識まではカバーできてません!!)、なんとオシリスは冥界の神なんですね(汗)これって常識なの!?
さて、ここでエジプトの神々の話を深堀する訳にはいかないので、焦点を焔摩天に移していきます。
「確か牛の話はこの本に詳しく書いてあったような」
と昔買った図書を引っ張り出してきます。動物図鑑じゃありませんよ?その本のタイトルは「無意識に出会う」老松克博著(トランスビュー社)です。
ここに記憶おとりメチャ詳しく出ていたので、いつくか掻い摘んで列記します(最初からこの本を開けばよかった説ある……)
『牛の象徴性は「豊饒性と繁殖力に関する「死と再生」、あるいはその落ち着きや安定性関係する深い知恵及び霊性」』
『古代ギリシャ人が牡牛を嵐の神ポセイドン、豊穣の神ディオニュソスに捧げていた。』
『インドでは牡牛は、暴風神ルドラに代表される荒々しい自然の力や、インドラ、シヴァなど創造に関わる神々との関係が深かった。』
『シヴァの聖牛ナディンはこの神本来の圧倒的な生産力と破壊力の混沌から生まれた。』
『インドでは、死にゆく人は、枕元に牝牛を連れてきてもらい、その尾っぽに掴まった。そして、亡くなると牛の引く車で火葬場へ運ばれ、その牛とともに荼毘に付された。牛には死者の霊魂をあの世までまちがいなく案内できる能力があると信じられていた。』
ほらね。……ここまで紹介すれば十分でしょうか。焔摩天、つまり冥府の王「ヤマ」が生まれたインドでは牛があの世への案内人だったんですよ。だったら焔摩天が牛を従えていることに全く違和感はないですね。むしろ牛以外はないまである(笑)
前の記事で焔摩天との類似点で取り上げた大威徳明王となったヤマーンタカ。覚えてますか?ヤマーンタカは「ヤマ+アタンカ」で、「アタンカ」は「死をもたらすもの」の意。つまり直訳すると「死神」になるという話をしました。
直訳すれば死神のヤマーンタカが牛に乗るのは極めて分かりやすい造形です。
とういうことで、ようやく焔摩天が牛に乗っている意味は概ね理解できたましたね(^^)
記事が参考になったら
クリック↓お願いします!