「この場合、正義って何?」
人間であれば、様々な場面でそう悩むことは多いと思います。絶対的な、万民共通の普遍的な「正義」というものがはたしてこの世に存在するのか?
もしかするとそんな絶対的な正義を「宗教」に求める人もいるのかもしれません。
しかし我々は経験的に正義と言うものは、地域、時代など多くの要因で変わってくる性質であることを概ね理解しています。
私も宗教家の端くれとして「何が正義なのか?」という問いに、真剣に向き合うことは避けて通れないと感じています。ただその答えは仏教徒とはいえ、その正解を求めるために只管過去の仏典に目を通せば(そんなことは容易ではないし)、達成できるような性質のものでもないとも感じています。もちろん仏典にその正解がないといっているのではなく、地域性、時代性を背景にその正義を落とし込むには「その時代の考え方」の習得が必要であると思っています。仏典はそのための道しるべであって、仏陀がいったように現代にあった「対機説法」は当然必要不可欠で、仏典をただオウム返ししても現代の若者に響かないのはご承知の通りです。
という事で私のような凡人が「正義」を考える上でとても参考になった図書があるので紹介したいと思います。
「これからの「正義」の話をしよう」マイケル・サンデル著 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
とても有名な図書なので、いまさら私が紹介するものでもないのですが……内容は西洋哲学からスタートした政治哲学なので、もしかすると仏教徒ですと、先入観から敬遠されるかもしれないと思い、あえて紹介してみました。
この本は売れている図書ですが、政治哲学の本という事と、訳書であるという読みにくさから読み切るには結構パワーがいると思います。
ですので、親切な私は!?(笑)、読まないでもある程度この本の内容が理解できる動画を紹介したいと思います。この動画見て興味を持ったら実際に読んでみるといいと思います。五分程度なので是非これだけでもご覧になってください。
動画を見ていただくと分かる通り、著者のサンデル教授が言っていることは「普遍的な正義とはこれだ」なんてことを主張しているのではなく、「正義を考えること」の重要性を強調しています。
これは全ての人にとって非常に重要なことだと感じました。
最近「思考停止」というワードをよく耳にします。結論に安易に飛びついて、自分の頭を使わずに納得してしまう態度からこのような「思考停止」が生まれるのだと思います。
だから自分の頭を使って、この場合ですと「正義とはなにか?」を安易に決めつけるのではなく自分で思考を繰り返してみることが何より重要なんだ、という提案となります。
安易に人の言ったことに飛びついて思考停止にならない。これは私もつくづく注意していきたいと思っています。
最後に、上の動画を見た方で「でも本を読むまでもない」という方はまたマイケル・サンデル氏のハーバード大学での講義を直接聞くのが早かもしれません。この動画は日本語吹き替えが秀逸でとても面白く視聴できる超おすすめ!!この講義内容を本にしてまとめたのが上述した図書ですから、この動画でもある程度のサンデル教授の主張する要点は確認できると思います。
若者がここまで真剣に、正義の議論をしていることに私は感動しました。こういう授業は絶対必要すよね。
では今日はこのへんで(^^)
記事が参考になったら
クリック↓お願いします!