「丹田」という言葉をご存知だろうか?
私の人生においてはこの「丹田」という言葉は、非常になじみのある言葉だったりする。
一つは「武道・武術」においてこの「丹田」という言葉が多用されるから。
もう一つは「禅」「瞑想」と言った行でもこの言葉がよく使われるからである。
曰く……
武道・武術では「丹田に力を入れろ」「丹田に重心を落とせ」「丹田に気を落とせ」などよくよく説明されますが、結構抽象的過ぎてよく分かりません。
また禅、瞑想でも「丹田に意識を集中して」「丹田で呼吸をして」「丹田に気を巡らせて」なんて説明をよく見かけます。
私は「禅」「瞑想」は達者はないので、あまり言及できる立場ではないが、こと「武道・武術」に関しては30年ほどのキャリアもあるのである程度の発言ができるだろうと思い、少しこの武道的「丹田」について考察したいと思う。
私なりに「丹田」という言葉をまとめると概ね「3つの説明」に集約できると思っている。
長くなりそうなので、今日はその一つ目を紹介して、それ以降は次回に「つづく」としたいと思います。
ではまず一つ目。それは「重心を丹田に落とす」という説明です。
日本武道の「姿勢」は概ねこれを実現するための動作になっています。これは上述のウィキペディアで出てきた「気が云々」という話は一切関係なく、物理的な身体の重心を丹田(下腹)に落とすような姿勢をとるということを意味します。
具体的には胸を広げて、おしりをやや後方に突き出すような姿勢です。この姿勢をとると下腹に「グッ」と力が入るのがはっきりと意識できます。
ただこの姿勢は横隔膜の動きが制限されるので慣れないと腹式呼吸がやりにくく、武道家が使う「逆式呼吸」がむく姿勢になります(ある程度の呼吸のトレーニングが必要)。
これを誰よりも声高に唱えたのが肥田式強健術の肥田春充氏でしょうか。
氏の晩年の図書は高度な哲学的な論説についていくのが難しくなりますが、前半生の「体育論」は、極めて日本武道的な優れた身体論だと思います。特に「丹田を物理的な重心とする」という明快は説明は日本武道家にとって目に鱗だったはずです。
ただ肥田春充氏ほどに腰をそる姿勢は所謂「弓腰」といって腰に負担のかかるよくない姿勢と言われることもあります。これは私の経験則でも腰を反りすぎると確かに腰への負担が大きいので「反り加減」が難しいかもしれません。慣れると肥田氏ほど反らなくても重心が丹田に落とせるようになります。
またここからは慎重に語りますが、日本の「禅」ではインドの「瞑想」では使わない「坐蒲」を使います。その理由は、日本武道と共通の「重心を丹田に落とすため」という目的が実はあるのでは?と思っています。つまり坐蒲をお尻に引くと身体がやや前傾し、その前傾した姿勢で床に対して垂直に背骨を持ってくると腰が後ろに突き出た状態になります。この姿勢はまさに重心が丹田にまさに落ちる姿勢と同じです。
「日本武道」と「禅」との繋がりあることは言わずもがなですが、どちらが先と言えば「禅」の影響を日本武道が受けたような気がします(想像です)。
何冊か図書が出てるようなのでこの姿勢に興味がある人は、やはり上述した肥田式強健術を実践するのが一番手っ取り早いかもしれません。動画もあったのでリンクしておきます。
なんたってそれ(丹田に重心を落とす)ことを目的にした体操ですからね。特に肥田式強健術の「外腹斜筋の型」を一つやるだけ(数秒で終わります)でもいいかもしれません!?
以上、次回は「気を丹田に落とす」という話をしたいと思います。
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