日本には伝統的に、息を引き取ってから埋葬または火葬にするまでの間の夜、近親者が死者とともに過ごすという風習がある。通夜を「お伽(とぎ)」「夜伽」「添い寝」などといって相続人が死者と添い寝をする例があるのは、その風習によるという。
妻は少しナーバスなところがあり、愛犬の「るびぃ」が亡くなって、荼毘に付すまでの2日間、「るびぃ」の亡骸を安置してる部屋に一人で入れなかった。
その安置の部屋が私の寝室だったので、私は「添い寝」まではいかないものの割と近距離で二日間、一緒に寝た。
妻は冒頭で紹介した「夜伽」の事が頭にあり、日中私が仕事でいない間、「るびぃ」を一人にしておくのはしのびないと思っていたらしく、ずっと一人で部屋にいる「るびぃ」が気になっていたらしい。
しかし……「るびぃ」は部屋で一人きりではなかった。
「みいこが私の代わりに「るびぃ」と添い寝してくれていた」
そう妻が涙ながらに語った。
「みいこ」が我が家に来たときは「るびぃ」が先住犬で、「犬と猫の相性は大丈夫だろうか?」とずいぶんと心配もした。
しかし、「るびぃ」は、そんな不安を見事に吹き飛ばし新参者の「みいこ」を難なく受け入れてくれた。そして、それ以来とても仲良になった。
猫は、テリトリー意識が強いので家の配置が換わるだけでストレスを感じるほどに「環境に敏感」と言われる。
おそらく「犬」と「猫」の違いはあれそのテリトリーを上手く共有していたであろう「るびぃ」と「みいこ」。
私たちが大きな「喪失感」を感じたように「みいこ」も、「るびぃ」がいつものようにいないことに気づいたのかもしれない。
だから、いつもの部屋にいない「るびぃ」を探し、私の寝室に侵入し、「るびぃ」を見つけて、いつもそうしていたように動かなくなった「るびぃ」の横で添い寝をした……
妻は自分の代わりに添い寝をしてくれた、そんなみいこに「みいちゃんありがとね」と涙を流していた。
(ストーブの前でみいこと添い寝する元気だったころのるびぃ)
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